ブログ

デパンナーの役割と家庭でパンを型から外す際のポイント

2023年11月14日
製パン工場で使われているデパンナーは、型やトレイを使うパン作りで活躍する工場ならではの機械です。この記事では、デパンナーの役割と家庭でパンを型から外す際のポイントをご紹介します。
◎最終工程に欠かせないデパンナーとは
パンの焼成を終え、オーブンから出てきたパンを型やトレイから外す製パン機械のことをデパンナーといいます。型にパン生地を詰める作業を「パンニング」と表現するのに対し、パンを型から外す作業は「デパンニング」と表します。このデパンニングがデパンナーのネーミングの由来となっています。デパンナーは、大型の機械のため、家庭や小規模のベーカリーで見かけることはありません。その代わり、パンを大量に作る製パン工場などでは、製造ラインに組み込まれて活躍するので、デパンナーは工場ならではの機械といえるでしょう。
 
デパンナーは、デパンニングの方法によっていくつかの種類に分けられます。まず、食パンのように深い型を使うパンに適しているのが、反転式のデパンナーです。反転式のデパンナーは、コンベアーを流れる型を取り上げ180度反転させて製品を離すシンプルな仕組みです。遠心力を利用して、型を反転することで離脱させるので、パンを傷めずにデパンニングができます。そのため、デリケートなパンにも使え、2、3個の複数のパン型を同時にデパンニングすることも可能です。
 
ブロアーでパンを吸い上げることで天板から分離させ、別のコンベアーに移す方式のデパンナーもあります。吸引式のデパンナーは、比較的多くの種類のパンに対応できます。しかし、パンの上部を吸引するため、上に具材が載ったパンや、やわらかい菓子パンには不向きといえます。コンベアーを流れるパンを天板からすくい取ることで離す仕組みのデパンナーもあります。すくい取り式のデパンナーは、ロールパンやバンズなど、焼成に天板を使うパンの場合に使われます。焼き上がった状態のまますくい取るため、パンの形が崩れることがないのがメリットです。ほかには、吸引式とすくい取り式の良い部分を兼ね備えた兼用デパンナーというものもあります。

最終工程に欠かせないデパンナーとは
◎製パン工場の効率を高めるデパンナーの重要性
デパンナーは、家庭や小規模のベーカリーでは通常手作業で行われるデパンニングを効率的に行う製パン機械です。たとえば、1日に何百万という食パンを生産する工場で、手作業でデパンニングすることは現実的ではない上に、仮にできたとしてもかなりの重労働になってしまいます。いくつものパンを効率よく一気にデパンニングできるデパンナーは、大量生産をする製パン工場において必要不可欠な存在なのです。
 
製パン工場では、焼成を終えオーブンから出てきたパンは、パン型やトレイごとコンベアで移動します。型を用いるパン作りでは、焼成後すぐにデパンニングを行い、ケービングを防ぐことが重要です。ケービングとは、焼成後のパンの上部や側面がへこんでしまう現象のことで「腰折れ」と表現することもあります。ケービングを引き起こす原因は、いくつか考えられます。たとえば、パン生地がやわらかすぎること、型に対するパン生地の量が少ないこと、パン生地の焼成不足などがありますが、焼成後にパンを型に入れたまま放置した場合もケービングは起こり得ます。そのため、とくに食パンのように型を使う大型のパンを作る際には、ケービングに注意が必要です。
 
焼成直後のパンは高温のため、パン生地内の水分は水蒸気になります。それらの蒸気は温度の低い外に逃げようとしても、パンが型にはまったままではできません。すると、パン生地内の蒸気はクラストに吸収されます。その結果、パンはふやけてやわらかくなり、自重に耐えきれず変形してしまうのです。したがって、ケービングを防ぐためには型からすぐ外して、パンの内部にたまった蒸気を早く逃す必要があります。ケービングを起こした部分は、歯切れが悪くネチネチとした食感になります。しかし、なかにはケービングしたパンは耳がやわらかくなっておいしいと感じる方もいるようです。そのため、ケービングを起こしたからといって、パン作りが失敗してしまったとは一概にはいえません。デパンナーによって型から外されたパンは、時間をかけて冷却されたあと、スライスや梱包の工程へと移っていきます。

製パン工場の効率を高めるデパンナーの重要性
◎焼き上がりのパンを型から外す際のポイント
家庭で食パンなどの型を用いるパンを手作りするときは、ほとんどの場合において手作業でデパンニングをすることになります。そこで重要なのは、焼き上がったらパンをすぐ型から取り出すことです。そうすることで、ケービングが防げるのでより見た目がきれいで、外側がパリッとしたパンが仕上がります。
 
パンを型から外す際に必ずやらなければいけないのは、パン生地にショックを与えることです。ベーカリーなどで、パンが焼けた後に「バンバン」という音がするのを聞いたことがある方もいるのではないでしょうか?家庭でパンを作る際も、パンをオーブンから出したら、10〜15センチほどの少し高い位置から落として作業台に数回打ち付けましょう。焼き上がったばかりのパンにショックを与えると、パン内部の水蒸気は早く外に逃げることができます。また、パン生地内の不安定な気泡や小さすぎる気泡が大きな気泡と合体し、クラムがしっかりするという効果もあります。焼きたてのパンはデリケートなため、型から出すときは優しく扱うように意識しましょう。
 
たとえ焼成時にきれいに焼けたとしても、型にパンがくっついてしまったら台無しです。パン生地を型に入れる前には、型の内部に離型油を塗っておくとパンが型から外れやすくなります。あるいは、パン生地が型にくっつくのを防ぐために、クッキングシートを敷いておくという方法もあります。

焼き上がりのパンを型から外す際のポイント
◎まとめ
デパンナーは、主に工場で使われる焼成後のパンを型やトレイから外す製パン機械です。KOKIでは、分割機や丸目機を中心に製パン機械に関わる製造や販売などの一連の業務を行っております。製品についてのご相談やご質問などは、当社までお気軽にお問合せください。

デパンナーの役割と家庭でパンを型から外す際のポイント