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パン生地づくりにおけるトラブルと予防策

2023年12月19日
パン生地づくりは繊細な作業のため「上手に膨らまない」「成形ができない」といったトラブルはつきものです。パン生地づくりは繊細な作業のため、いくつか注意するべきポイントがあります。この記事では、パン生地づくりでよくあるトラブルと予防策についてご紹介します。
◎パン生地づくりの主な工程
パン生地づくりには、主に5つの工程があります。 まずは材料と水を混ぜてこねる工程からはじまります。こねは、パン生地を膨らませるグルテンを形成するために欠かせません。しっかり捏ね上がったら生地をボウルに移し、ラップをかけて一次発酵を行います。室温は25〜35℃、湿度は70〜75℃になるように注意して、パン生地が2倍程度に膨らむまで待機してください。一次発酵が終わったら、膨らんだパン生地のガスを抜いて、分割して丸めます。ガス抜きを行うときは力加減に注意して、やさしく外側に向けて生地を押していきます。この工程を行うことで、きめの細かいパンが焼き上がります。
 
焼き上がりに入る前に、パン生地を休ませるベンチタイムを行います。季節や温度にもよりますが、時間は15〜30分程度置くようにしましょう。最後に、成形したパン生地をオーブン皿に並べて二次発酵にはいります。室温は30〜40℃になるよう温度管理に注意して、生地が2倍程度になったら二次発酵の終了の合図です。最後は、適切な温度になったオーブンでパン生地を焼成します。

◎パン生地づくりでよくあるトラブルと原因 
パン生地づくりでは、温度や材料の分量が大切です。少しでも間違えると、思いもよらないトラブルが起こってしまいます。事前によくあるトラブルと原因を知っておくことで回避できます。 
 
○捏ねても生地がまとまらない 
捏ねても生地がまとまらないトラブルは、パン生地づくりでよく起こります。パン生地のなかでグルテンがしっかり形成されることにより、生地がまとまるようになります。そのため、捏ねはじめはまとまらなくても問題はありません。捏ねていてもなかなか生地がまとまらない場合は、材料の分量を間違えているか、捏ねの作業が足りないことが原因として考えられます。材料の分量が正しい場合は、捏ね足りない可能性が高いので、グルテンが形成されるまで、よく捏ねてください。パン生地はよく捏ねると、しっかりと薄いグルテン膜ができるので、強く伸ばしても破れることのない状態になります。パン生地がしっかり捏ねられたか確認する方法は、生地を両外側に伸ばして薄くなった膜ができるかです。生地がすぐに切れてしまう場合は、捏ねが足りないことになります。
 
○パン生地が膨らまない
生地が膨らまないトラブルも、パン生地づくりでよく起こり得ることです。パン生地が膨らむ仕組みは、グルテンの膜で包まれた炭酸ガスの気泡が生地内にたまり、それが加熱されて膨張することで起こります。一次発酵でパン生地が膨らまなかった場合は、捏ね不足でグルテンの膜ができていないか、生地の温度が低すぎるのが原因として考えられます。生地の温度が冷たいと発酵しにくいため、膨らみにくくなります。よくある原因のひとつは、材料の分量を間違えていることです。パンの材料にはバランスがあるので、レシピ通りの配合にしないと、生地が膨らまない可能性があります。水が少なすぎて生地が硬いと、パン生地が膨らまない原因になるので、水の量にも気をつけましょう。
 
○1度膨らんでもしぼんでしまう過発酵 
過発酵はパン生地づくりにおいて、気をつけないといけないトラブルのひとつです。過発酵とは、パン生地の発酵が進みすぎてしまった状態のことを指します。発酵時間を長くとりすぎたり、パン生地の温度が高すぎると過発酵の原因となります。室温が高すぎても低すぎても過発酵につながってしまうので、室温には注意する必要があります。過発酵の状態になると生地が伸びすぎて弾力がなくなるので、パンの焼き上がりが大きくなりすぎるか、しぼんでへこんだパンになってしまいます。また、きめが粗くなるので、焼き上がりがパサパサとしたパンになってしまいます。
 
○生地が硬い
生地が硬いといったトラブルが起きると、焼き上がりのパンも硬くなってしまいます。パン生地に含まれる水分の量が少ないと、生地が硬くなる原因になります。そのため捏ねているときに、生地がしっかり伸びるくらいまで、水を加えましょう。また、季節でいうと冬は乾燥しやすいので、レシピ通りに作っていても水分不足になりやすいです。季節によって水分の調整が必要になります。また、捏ね不足によってグルテンが形成されていないこともパン生地が硬くなる原因です。グルテンは弾力性があるので、しっかりとグルテンができていれば生地はやわらかくなります。
 
○生地がくっつく
パン生地を触るとベタベタして手や作業台にくっついてしまうときは、生地との接触時間が長く、強く触ってしまうことが原因です。最初は力加減が難しいですが、やさしく、素早く、指先と手のひらを使って生地を伸ばすことを意識しましょう。水分量が多いことも、生地がくっつくトラブルが起きる原因になります。捏ね続けていくと生地に弾力が出てきて、手や作業台にくっついていた生地が剥がれるようになってきます。触りすぎたりずっと捏ね続けると、生地温度が上がってしまうためベタつく原因になります。ある程度まとまったら、叩きつけるように捏ねることがポイントです。生地温度が高くなる夏場だと、べたつきやすくなるので、材料を冷やして使う必要があります。パン生地の表面を滑らかに整えないと、手や作業台に残っている生地がつきやすくなるので、スケッパーを使ってならしたり、生地を転がして表面が滑らかになるよう注意しましょう。
 
○うまく成形できない
パン生地を潰したり押さえつけるようにすると、うまく成形できないトラブルが起きる原因になります。生地を成形するときは、力加減が大切になります。手はドーム型にして、生地を包み込むように成形してください。生地を触りすぎると、表面がボコボコしたり破れたりして、綺麗に成形できないので注意が必要です。打ち粉をかけすぎると滑ってしまって、うまく成形できない原因になります。打ち粉はかけすぎないように、手につかないくらいの量にしましょう。また、ベンチタイムの時間がしっかり取れていないと、生地が成形しにくくなります。生地はしっかりと休ませることが大切です。ベンチタイムをしっかり取ると、生地の伸びがよくなるので、成形しやすくなります。成形の段階で、伸ばす作業が必要なときに一気に伸ばすと、パン生地が縮んでしまうので、少しずつ休ませながら伸ばしていきましょう。

◎パン生地づくりにおけるトラブルの予防策
パン生地づくりにおけるトラブルの予防策はいくつかあります。まず、材料の分量を正確に守り、温度管理をしっかり行うことが重要になります。パン生地を作るときの水の温度は、夏場は5℃程度の冷水、冬場は30℃程度のぬるま湯にしましょう。生地の温度は27℃が目安なので、水温だけで調節できないときは、小麦粉を冷蔵庫で冷やしたり、湯せんにかけて温めたりしてください。水の温度を40℃以上にすると、イーストが死んでしまうので注意しましょう。
 
ドライイーストが古くなっていると発酵する力が弱くなってしまうので、新しいイーストを使うようにしてください。生地を発酵させる時間は、外気の温度に影響を受けます。温度や発酵時間の長さも大切ですが、季節によって変わるので、最終的には生地の状態をみて判断しましょう。発酵の目安としては、元の生地の2倍程度の大きさです。
 
パン生地は、触りすぎると生地温度が高くなってしまうため、トラブルの原因になります。ある程度捏ね上がったら生地を叩きつけるようにまとめるなど、触れる時間を減らすことが大切です。バターなど油脂を加えるタイミングは、グルテンが形成できてから、生地が7割ほど完成してからにすると、生地がまとまりやすくなります。

◎まとめ
パン生地づくりでよくあるトラブルと予防策を理解しておくことで、失敗するリスクを減らせます。パン生地づくりは、実に繊細な作業です。美味しいパンに仕上げるために、ひとつずつ丁寧にパン生地づくりを行いましょう。
KOKIでは、分割機や丸目機を中心に製パン機械に関わる製造や販売などの一連の業務を行っております。製品についてのご相談やご質問などは、当社までお気軽にお問合せください。