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冬のパン生地は固くなりがち?欠かせない乾燥対策

2024年1月16日
私たちは、冬を快適に過ごすために寒さや乾燥の対策をしますが、パンも同様です。おいしいパンを作るためには、冬ならではの扱い方が大切です。この記事では、冬のパン生地の扱い方や欠かせない乾燥対策、冬におすすめのパン作りをご紹介します。
◎冬のパン生地の取り扱い方
冬のパン作りでは、パン生地が固く感じることがあります。室温が低い影響で、パン生地の温度が上がりにくいことが固く感じる原因のひとつといえます。パン生地のこね上げ温度が低いまま工程を進めてしまうと、発酵不足になる可能性が高くなります。発酵不足のパンは、焼いてもボリュームに欠け、食感も粘土のようで、おいしいパンとはほど遠い仕上がりになってしまいます。
 
パン作りに適した室温は、20〜25℃といわれています。そのため、冬の寒い時期は暖房などを活用して、なるべく温かい室温をキープします。パン生地のこね上げ温度には、使用する道具や小麦粉などの材料も関係するため、事前に温められる道具や材料は、温めておくようにしましょう。パン生地を手でこねる場合は、手をお湯に浸けるなどして温めておくことも大切です。手が温まっていると、こねているうちにパン生地が伸びてこねやすくなります。あるいは、ステンレスのボウルよりもプラスチックのボウルのほうが冷えにくいといったことがあるので、季節によって道具を変えてみるのもよい方法です。
 
冬は夏のときよりも仕込み水の量を1〜2%増やしてみると、パン生地が固くなりにくくなります。仕込み水には、ぬるめのお湯を使うようにしましょう。もし、パン生地をこねている途中に固いと感じたら、手のひらに少し水をつけてこねてみてください。こねの工程が終わったら、温度計でこね上げ温度を確認するのも大切です。一般的なパン生地のこね上げ温度は26〜28℃です。温度を測ってこね上げ温度が低かったら、一次発酵を長めに取って調整する必要があります。
 
パン生地がこね終わったら一次発酵の工程に移りますが、冬は一次発酵にかかる時間が夏と比べて長くなると心得ておきましょう。基本的に、冬はレシピ通りの発酵時間でパン作りをすると、発酵不足になる可能性が高いです。そのため、最終的に発酵ができているかは、きちんと自分の目で見て判断しなければいけません。室温が低い冬の季節は、発酵機やオーブンの発酵機能をうまく使うとよいでしょう。そういった設備がない場合は、こね上げ温度をキープするために発泡スチロールの箱などにパン生地を入れる方法があります。その際に、カップなどにお湯を入れたものを一緒に入れると、パン生地の温度が下がりにくくなります。

◎冬のパン作りに欠かせない乾燥対策
冬は空気が乾燥していることに加え、暖房を使用すると室内の湿度はかなり低くなります。パン作りでは常に乾燥に気をつける必要がありますが、とくに冬は乾燥対策が欠かせません。室内の乾燥は、パン生地が固くなる原因にもなります。パン生地が乾燥すると、膨らみ不足やひび割れが起こり、焼成後のパンも固くなったりパサついたりしてしまいます。
 
パン作りの工程のなかで、パン生地が乾燥しやすいタイミングはいくつかあります。まず考えられるのは、パン生地をこねるときです。冬は手が乾燥しやすい季節ですが、乾燥した状態の手でパン生地に触ると、手がパン生地の水分を奪ってしまいます。また、一次発酵時にはボウルにラップをかけておくことが大切ですが、少しでも隙間があるとパン生地が乾燥してしまう恐れがあります。そこで、ボウルをタッパーに代えると、しっかりとフタができるので安心です。ベンチタイム後の分割と丸め、その先の成形では、できるだけ短時間で作業を済ませるのがパン生地の乾燥を防ぐポイントです。それぞれ作業が終わったパン生地にはラップをかけるか、フタ付きの容器に入れて、空気に触れないようにしましょう。二次発酵中は、パン生地のそばに沸かしたお湯を入れたカップなどをそばに置いたり、場合によっては霧吹きを使うなどして乾燥を防ぐことが重要です。
 
また、焼き上がった後のパンも乾燥しやすいので、気をつけてください。乾燥を防ぐために、パンをオーブンから出して粗熱が取れたら、早めに袋に入れて保存するようにしましょう。小さいパンであれば、ひとつずつラップに包んでから袋に入れるようにすると、より空気に触れにくくできます。

◎冬に適したパン作り
冬のパン作りは、寒さや乾燥に注意しなければいけないのが大変ですが、発酵がゆっくり進むため、夏のように過発酵を気にすることなく時間に余裕を持って取り組むことができるというメリットがあります。温かいスープや料理と一緒に食べることを前提にして、フランスパン、バケット、フォカッチャなどのシンプルなパンを作るのもいいですが、「いつかは作りたいけれど、難しそうで躊躇している」パンがあるなら、冬こそ取り組むチャンスです。
 
たとえば、バターを多く使うリッチなパンは冬に作るのが向いています。通常、クロワッサンやデニッシュを作る際は、バターが溶けないように気をつけながらパン生地に折り込まなくてはいけません。しかし、冬の気温ならバターの状態をあまり気にせず、パン作りに取り組むことができるでしょう。ほかにも、旬の食材を使った季節を感じる楽しみ方もあります。冬なら、ほうれん草やブロッコリーなどの野菜とホワイトソースを使ったグラタンパンや、りんごを使ったパンを作るのもおすすめです。

◎まとめ
冷え込む冬のパン作りでは、パン生地の温度を下げないことと、乾燥させないことが重要です。一方で、きちんと対策を取れば、時間に余裕を持って取り組めるメリットを活かしたパン作りに挑戦できます。冬ならではのパン作りを楽しんでくださいね。
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