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梅雨の時期に安定したパン生地を作るポイント

2024年6月4日
おいしいパンを作るためには、選ぶ材料や配合などさまざまな要素が関わっています。そのひとつが、季節や環境に合わせた作り方です。この記事では、梅雨のパン生地づくりで知っておきたい水分量や発酵、製パン工場の環境や製パン機械のミキサーについてご紹介します。 
◎梅雨のパン生地づくりに大切な水分量 
パンづくりでは、材料として使用する水分量によって、焼き上がるパンの食感や膨らみ加減が変わります。パン生地づくりにおいて粉量に対する水分量の割合を加水率といいます。作りたいパンの種類によって、おおよその加水率が決まっています。たとえば、加水率が65%前後のものは、食パンや菓子パンなど一般的なパンを作るのに適したパン生地です。こねやすく扱いやすいパン生地で、焼き上がりもふんわりとして、しっかり膨らみます。
 
それよりも加水率が低いパン生地は、水分が少なくてかたいパン生地になり、ベーグルのような噛み応えのあるパンに焼き上がります。一般的な加水率よりも水分量が多いパン生地は、バケットやフランスパンなどハード系のパンに適しています。パン生地はべたつきやすく扱いにくいですが、焼き上がりはもちもちとした気泡の多いパンになります。このようにパン生地の水分量は、パンづくりにとって大切な要素のひとつです。 
 
日本には四季があり、雨が多い季節や乾燥する季節、気温の違いなど、1年を通して常に環境が変化します。とくによく雨が降る梅雨の時期は、パン生地を作る際に注意しなければなりません。レシピ通りの水分量でいつもと同じ作り方をしたはずなのに、パン生地がべたついて思うように作れなかったという経験がある方も多いのではないでしょうか。
 
湿度が高い梅雨の時期は、空気中に含まれている水蒸気の量が多いので、小麦粉にも水分が含まれてしまいます。水分を含んだ小麦粉を使用して、いつもと同じ水分量を加えると、結果的に全体の加水率が多くなってしまい、生地がべたついたり焼き上がりに変化が生じたりしてしまいます。梅雨の時期にパンづくりをする際は、梅雨特有の高い湿度を考慮して水分量を調整しましょう。まず、いつも加えている水分量の10%くらい残してパン生地をこね、硬さを見ながら調整しつつ残りの水分を加えるようにすると、パン生地を最適な硬さに仕上げられます。 

梅雨のパン生地づくりに大切な水分量 
◎梅雨の時期におけるパン生地の発酵 
材料を混ぜてパン生地をこねたあと、丸めや成形を行ったあとなど、パンづくりでは何度かパン生地を発酵させる工程があります。発酵の工程で大切になるのは、発酵に適した温度や湿度です。発酵では、パン生地に加えたイーストが活動して、炭酸ガスやアルコールを生成します。炭酸ガスが発生することによってパン生地が膨らみ、ふんわりとしたやわらかい食感やパン特有の香りが生じます。
 
イーストは、湿度が高い方が活発になり、気温が35%で湿度が80%くらいが発酵しやすい環境といわれています。梅雨の時期は、基本的に温度や湿度が高いため、パン生地の発酵には適した気候といえます。発酵を行う際に注意しておきたいのは、生地の乾燥です。梅雨の時期は湿度が高いため、乾燥しないのでは?と思うかもしれませんが、窓から入る風や冷房の風などが当たって生地が乾燥してしまう場合があります。生地をこねる際の温度が高いと乾燥しやすいともいわれているため、気温が高い梅雨時期に生地をこねる際は、乾燥しないよう対策を行いましょう。天板に生地を乗せたまま大きなビニール袋のなかに入れて密封したり、ボウルをかぶせたり、フタ付きの容器のなかに入れるなどの対策によって、生地の乾燥を防げます。 

梅雨の時期におけるパン生地の発酵 
◎製パン工場でのパン生地づくり
パン工場では、梅雨などの季節に関わらずいつでも大量のパンの製造が行われています。どのようなときでも安定した製品を生産するために大切なのは、製パン機械と工場内の環境を整えることです。パン生地を作るために使用されているのは、ミキサーという製パン機械です。ミキサーは、小型から大型までさまざまな種類があり、ベーカリーなどでも使用されている製パン機械ですが、製パン工場では大型の横型ミキサーが使用されています。横型ミキサーは、1度に200㎏もの小麦粉をこねられるものもあり、1度に大量のパン生地をこねて、製パン工場での大量生産を支えています。 
 
横型ミキサーは大きな箱型の装置で、上部に小麦粉やイーストなどの材料を入れられる投入口があり、投入口の下にはパン生地をこねるための大きなボウルが内蔵されています。ボウルのなかには、アジテーターと呼ばれるバーがあり、バーが回転して材料を混ぜ、パン生地をこねていきます。このアジテーターの本数や仕様、ボウルとアジテーターのすき間、アジテーターが回転する速度や時間などの違いによって、パン生地のこね具合やパンの焼き上がりが変わります。ミキシングする際にパン生地の温度が高くならないよう、温度管理ができるような冷却機能付きの横型ミキサーもあります。 
 
製パン工場では、パン生地を発酵させる際の温度や湿度が徹底管理されています。こねたパン生地を一次発酵させる際は、発酵に最適な温度と湿度に管理された部屋で発酵を行います。またパン生地の分割や丸めをしたあとの二次発酵や最終発酵では、プルファーという製パン機械を使用し、ヒーターやスチームなどによって最適な環境を保ちながらパン生地を発酵します。 
 
いつでも同じ品質の製品を生産するためには、製パン機械や製造ラインがある工場全体の環境を管理することも大切です。食品を扱っている工場なので、衛生管理も徹底されていますが、工場内の湿度や空調管理を徹底することにより、パン生地が外気の気温や湿度の影響を受けないようにし、安定した製造を行います。 

製パン工場でのパン生地づくり
◎まとめ 
湿度が高い梅雨の時期は、水分量や発酵の時間などの調整が大切です。製パン工場では、製パン機械の使用や環境の管理によって、安定した品質を保ちます。KOKIは、製パン機械を開発している専門メーカーです。製パン機械に関するご相談は、当社へお気軽にお問い合わせください。

梅雨の時期に安定したパン生地を作るポイント