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パン作りに欠かせない発酵とは?発酵に最適な環境を作る製パン機械プルファー

2022年12月6日
同じ小麦粉でも、ケーキなどのお菓子とパンを作るときの違いを聞くと、発酵の工程を思い浮かべる方が多いかもしれません。パン作りでは生地を発酵させるタイミングが何回かあり、発酵がうまくできないとパンが膨らまなかったり食感が悪くなったりなど、パンの仕上がりを左右します。この記事では、パン作りで発酵を行う目的や温度と湿度の管理について、また発酵に適した環境を作る製パン機械プルファーをご紹介します。
◎パン作りに欠かせない発酵
パン作りの基本的な材料は、小麦粉と水、塩、そして酵母とも呼ばれているイーストです。そもそも発酵とは、イーストが小麦粉のでんぷんやショ糖などの糖分を分解し、炭酸ガスやアルコールを発生させる現象のことを指します。発酵で発生した炭酸ガスが、グルテンのなかに入ってパンを膨らませるため、ふんわりとボリュームのあるパンになります。また、発酵によってパン生地が熟成するため、パンの風味や香りが良くなり、弾力のあるパンができあがります。
 
パン作りの製法によって発酵の回数は異なりますが、基本的にストレート法では2回、中種法では3回発酵するタイミングがあります。ストレート法は、すべての材料を1度に混ぜてこねる製法のことで、中種法は材料を2回に分けて加え、段階的に生地をこねる製法です。中種法では、先に混ぜ合わせた材料を発酵させて中種を作ってから、残りの材料を加えて本ごねを行うため、発酵させる回数が多くなります。どちらの製法でも材料をこねてパン生地ができたあとは、生地を分割して丸め一次発酵を行います。
 
分割や丸めを行った生地は、グルテンが傷ついた状態で、生地の弾力も強くなっており、生地の伸展性が弱くなっています。発酵させて炭酸ガスを発生させることで、生地がゆるんで伸ばしやすくなります。また、発酵によってパン生地を膨らませたり熟成させたりすることができます。
 
ガス抜きと成型後に行う二次発酵は、焼き上げるときにパンのボリュームが出るよう、直前まで膨らませるために行います。少し余裕をもたせた状態まで発酵させ、焼き上げ時にもっとも膨らむようにすることで、ふっくらとしたパンが焼きあがります。

◎発酵に大切な温度や湿度の管理
パン生地の発酵では、温度や湿度、時間の管理が大切です。使用している材料やパンの種類などによって、発酵の方法や時間などが異なります。例えば、加えるイーストが多ければ発酵時間は短くなり、少量であれば長くなります。また発酵の際の温度が高ければ短い時間で発酵し、温度が低いと発酵に長い時間がかかります。さらに一次発酵と二次発酵では、発酵させる目的が異なるため、最適な温度や湿度、必要な時間も異なります。
 
一次発酵では、パン生地を熟成させるために時間をかけ、低めの温度で発酵を行います。自宅で作る場合は、ラップやふきんをかけて乾燥させないようにした状態で室温に置いたり湯煎にかけたり、オーブンの発酵機能を使って発酵させることができます。二次発酵では、パン生地をしっかりふくらませるために、イーストが活発になる高めの温度で発酵を行います。
 
二次発酵の温度は、食パンや菓子パンなどは温度が38℃で湿度85%、フランスパンなどは温度が32℃で湿度が75%の環境が最適と言われています。自宅で作る場合でも、オーブンの発酵機能を使って環境を整えることができますが、バーカリーやパン工場などでは、専用の機械を使って発酵に最適な環境を保っています。

◎温度と湿度の管理を行う製パン機械プルファー
ベーカリーやパン工場など大量生産を行う現場では、製造するパンの品質を安定させるために発酵の環境を整える、プルファーと呼ばれる製パン機械を使用しています。一次発酵で使用するプルファーは中間プルファー、また焼き上げ前の最終発酵で使用するプルファーは、ファイナルプルファーと呼ばれています。
 
プルファーは、ヒーターやスチームなどによって、発酵に最適な温度と湿度を保った環境を作り出すことができます。プルファーのなかに設定した時間入れておくことで、気温などに左右されることなく、同じように発酵させて品質を保つことが可能になるのです。プルファーには、中型サイズのプルファーと大型サイズのプルファーがあり、パンの製造量や製造する場所のスペースに合わせて選べます。
 
中型サイズのプルファーは、ベーカリーなどの店舗に置けるサイズで、冷蔵庫のような縦長の長方形をしており、なかにはラックが何段か設置されています。型や天板に並べたパン生地をプルファー内のラックに収納して、発酵させることができます。大型サイズのプルファーはパン工場で使用されており、製パンの製造ラインに組み込んで設置することができます。分割後の一次発酵で使用する中間プルファーは、メッシュの形状のバスケットに分割したパン生地をひとつずつ入れて、バスケットを移動させながら生地を休めることができ、発酵させる時間が終わるとそのままガス抜きをするモルダーという機械に流れていきます。
 
最終発酵で使用するファイナルプルファーにはさまざまなタイプがあります。何段もパン生地を置ける手押しラックをそのまま設置できるラック式のプルファーや天板ごとにラインを流れるトレー式、らせん状の装置を流れるスパイラル式などのプルファーなどがあります。大型プルファーでは、厳密に温度と湿度の管理を行い、プルファー内のどこでも均一な環境を保てるよう設計されています。また発酵しているパン生地はショックや衝撃に弱いため、移動時に衝撃がかからないようにするなど、さまざまな工夫のもと設計されています。

◎まとめ
発酵は、パン作りに欠かせない大切な工程です。一次発酵と二次発酵でも発酵の目的が異なるため、温度や湿度など発酵に適した環境が異なります。プルファーは、発酵に適した環境の管理を行うことができる製パン機械です。KOKIでは、パン生地の発酵に最適な環境をつくり出すプルファーの開発や製造を行っています。製パン造機械に関するお悩みやご相談は、当社までお気軽にお問い合わせください。