パン生地は、分割次第で焼き上がりにバラつきが生じます。製パン機械のひとつである分割機は、同品質を保つためにパンメーカーをはじめ、多くの現場で導入されています。この記事では、パン生地の品質を安定させるために大切な役割を担う「分割機」についてご紹介します。

◎分割機の役割と必要性

パン生地の分割を行うタイミングは、生地の一次発酵が終わりガス抜きをした後です。この分割の工程を担う製パン機械のことを分割機と言います。分割方法や分割にかける時間によって、その後の工程に影響を及ぼしかねません。例えば、分割した生地の大きさが異なると、発酵の進み方や焼き時間にバラつきが生じます。さらにパン生地の分割は、時間との勝負でもあります。なぜなら、分割する数が多ければ多いほど発酵が進み膨らむため、最初と最後で生地に差が出てしまうからです。また、できるだけパン生地を傷めないように分割することも重要です。生地に傷みやストレスが生じると、発酵時の膨らみや焼き時間のバラつきの原因になります。分割のクオリティがそのまま焼き上がりに影響してしまうのです。

 

このようにパン作りの工程で重要な分割ですが、分割機を使うことでスピーディーにかつ安定した品質を実現できます。分割機は、機械の上にある投入口からパン生地を投入して圧力をかけて分割するタイプと、事前に伸ばした生地を置いて刃でカットして分割するタイプ、主に水分量が多く柔らかい生地に使用する吸引して分割するタイプがあります。大量にパンを製造しているパン工場では、主にパン生地に圧力を用いて分割する方法をとっています。パン生地を投入後は設定した情報を元に、分割機により全自動でスピーディーに分割が可能となります。ただし全自動のため、分割途中のパン生地の状態によっては、分割機の設定の微調整が必要となります。

◎パン生地にやさしい分割機の選び方

製パンをする上でスピーディーに分割を担う分割機ですが、一方で分割スピードだけを重視してしまうとパン生地を傷付けてしまうことにつながります。スピードを重視するあまり力を加えすぎる分割機だと、グルテンが断ち切られて扱いにくいパン生地になってしまうのです。分割後に控える工程にも影響が出てしまうため、なるべくパン生地へのダメージを減らす分割機を選びましょう。

 

当社の分割機は、揉みこみ式でありながらも、従来機と比べて約半分相当の弱い圧力で分割できます。生地ダメージが少なくその後の発酵や焼成後の膨らみに影響せずに、きめ細かくふっくら弾力性のあるパンに仕上がります。事前に発酵させておきストレスをかけずにカットする方法もありますが、生地によっては適さない場合があります。菓子パンや食パンの場合は、目が粗く弾力のない仕上がりとなってしまうので注意が必要です。

 

パン生地の分割で大変なことのひとつは、発酵による膨らみです。製パン工場では特に使用するパン生地の量も多いため、分割機でいかにスピード感をもって分割を進めていたとしても膨らんだ容積分を考慮しなければなりません。もし膨らみを考慮せずに分割を進めてしまうと、大量のロスを生じることになってしまいます。分割を行っている間でも発酵が進むため、容積が大きくなる一方で密度は下がっていきます。一定の容積で生地を分割し続けてしまうと、膨らんだ生地重量は徐々に低下してバラつきが生じる原因になる恐れがあるのです。

 

そのような課題を解消してくれるのが、ウエイトチェッカーが一体化した分割機です。ウエイトチェッカーが付いていると、生地の変化に合わせてタイムリーに重量補正が可能となります。分割機を使用する上で難しいとされる新しい生地との切替わりのタイミングも、一時的に分割速度を下げて制御することが可能です。その結果大幅な重量変化に対応することができるので、生地ロスを確実に減らせるようになります。ウエイトチェッカー一体化分割機は、安定した分割制御とコスト削減を実現します。

◎使う人のことを考えたKOKIの分割機

パン生地の状態に応じて微調整が必要になる分割機ですが、パン生地の種類が多くなればなるほど、その調整は難しくなります。当社の分割機はタッチパネルを採用しており、簡単に重量調整が可能です。各製品に応じた圧力と吸込み量などを設定しプログラム出来るため、操作する担当者が変わったり複数の担当者がいたりしても同品質を保てます。100品目の製品登録ができるため、製品を呼び出して起動するだけで分割作業に入れます。他社の分割機では、アナログ方式が多く感覚的な調整方法なので、特定の人以外には操作が難しいとされています。アナログ方式と比較して、デジタル方式を採用することで安定制御が可能となっています。

 

分割機を使っていくうえで、日々のメンテナンスのしやすさは大きなポイントです。当社の分割機は、シンプルな構造かつ軽量化されているだけでなく、耐久性にも優れています。取り外し部品を金属製ではなくPET樹脂製にすることで摩擦を減らし、分割機を長持ちさせることに成功しています。また軽量化されていることから、女性の多い作業場でも分割機を取り扱いやすくなっています。生地の投入口は、内部がコーティング施工されて拭き取るだけで生地も取りやすく、内部もシンプルな構造にすることにより清掃スペースも広いのが特徴です。拭き取りなどの清掃作業もしやすくなったことで、清掃時間の短縮につながっています。他社の分割機は構造が複雑なため、生地カスや油が入り込みやすく、金属製で重いため清掃が大変な場合が多いです。

 

分割機を使用していくなかで、消耗していく部品も出てきます。当社のモーター等の電装部品は市販品を使用しているため、取り扱っている店舗から購入することが可能です。メーカーオリジナル品を多く使用する分割機と比べて納期や時間を短縮でき、メンテナンス費用の削減へもつながります。

◎まとめ

同品質のパンを作るために、分割機はとても大事な役割を持っています。当社の分割機はソフトウェア技術を融合させることで、発酵によるパン生地の膨張を考慮した使用者にやさしい設計です。分割機に関するご相談は、KOKIまでお気軽にお問い合わせください。